
異なる素材を組み合わせて、模様を象(かたど)って嵌(は)め込む象嵌(ぞうがん)。
紀元前に現在のシリアで誕生し、世界はもちろん日本にも広まったとっても歴史のある工芸技法ですが、日常生活でその存在を認識することはあまりないですよね?
象嵌の技術自体に価値を感じる方も多いはずなのに、絶対的に職人さんが少ないという現実があるんでしょうね…寂しいばかりです。
そんなことを考えてるときに、YouTubeでフローレンスモザイクの老舗工房の動画を視聴する機会がありました。
ナレーションで石を切断し接合するだけで最低でも10年の修行が必要だと…これは理解ができます。
石を精密に切断して隙間が生まれないように完全に接合するなんて尋常じゃありません。私なら10年どころか生まれ変わっても出来ないでしょう。
しかし最終的にそれを絵にするというのは生まれ持った才能が必要だというのです…絶対音感的な話じゃありませんか!
そりゃ~職人さん少ないはずだ…納得です。
集中力も器用さもないうえ、才能なんて微塵もない私はもう無理です…って、いつの間にか職人さんになると考えていた自分に驚きです…。
こういう動画を見ると、どうしても影響されるんですよね(笑)
そんな数少ない職人さんをリスペクトしつつ、今回は象嵌の技術が光る伝統工芸品のヴィンテージをご紹介いたします。
ヴィンテージ フローレンスモザイクの木製枠の壁掛け

ルネッサンス期のフィレンツェのメディチ家のもと作られ始めたフローレンスモザイク。
現在では職人は数える程度しかいない稀少なイタリアの伝統工芸品です。
草花や風景などを自然の石だけを使い生み出された絵画のようなクオリティに驚かされます。
伝統的な黒背景によって、立体的に見えるお花が素敵すぎます!
近くで見ると色の違いを細部まで観察でき、離れると奥行が表現されていることに気づかされます。
見る立ち位置の違いで、色々と楽しむことができるのも、フローレンスモザイクの魅力です。また木製枠のデザインもセンスのよさが光ります。
詳細画像 → こちらへ
フランス セルロイド銀象嵌 ミサ祈祷書

当時、高価な象牙の替わりとして生まれたセルロイド製のミサ祈禱書。もともとはかなり古く、持ち主が表紙を再装丁したようで、本体と表紙が離れています。
表紙のセルロイドには象嵌細工によって銀線と貝が埋め込まれ、繊細で可憐な草花が描かれています。こんなミサ祈祷書を持つ司祭さま素敵です。インテリアとしてお部屋を彩るとともに、厳かな気持ちにさせてくれる逸品です。
本当に職人さんには憧れと敬意しかありません。
象嵌細工を身近に楽しめるよう、素敵な職人さんがもっともっと現れることを祈りたいと思います。
なれるものなら私が職人さんになりたいのですが、ジグソーパズル1000ピース程度で躓くような者に、そんな資格などこれっぽっちもありゃしないですね(笑)
詳細画像 → こちらへ